2019年05月31日

十四  ペテロ・バプチスタの涙ーこの国のリバイバルを願って

彼杵の港
美しい穏やかな大村湾を眺めながら、低い声で一同は、今までの事をあれやこれやと話していました。そのとき、26人のリーダーのペテロ・バプチスタ神父は、みんなから少し離れたところにある岩の上に腰を下ろして、静かに黙想をしていました。彼は日本に来てからの筆舌に尽くしがたい3年間の苦難と戦いの事を、思い返していたのです。京都の病院に残してきた患者たちの食べるコメがないことが、殉教を前にしても、ふっと思い出されました。
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2019年05月29日

十四  ペテロ・バプチスタの涙ーこの国のリバイバルを願って

しかし、その最も苦しい峠を越えた時、目の前にとても美しい大村湾が広がっていたのです、彼らはその美しさに感動を覚えながら、やがて帰っていく天国に思いをはせていました。その時、とても深い喜びが、彼らの心の奥底からわき上がってきたのです。大村湾を眼下に見ながら、彼らは峠を下り、彼杵の港にたどり着きました。2月4日、彼らが西坂の丘で殉教する前日の夕方のことでした。彼らは、ここから時津へ舟で連れられて行くのです。この彼杵の港で、しばしの休憩の時が待たれました。
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2019年05月28日

十四  ペテロ・バプチスタの涙ーこの国のリバイバルを願って

「だれでも私について来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい」(マルコの福音書8章34節)
26人の殉教者たちの殉教への旅は、終わりに近づいてきました。佐賀の山本村から、とても険しい俵坂峠を彼らは黙々と歩き続けました。すれ違う人もなく、彼らのひと月にわたる殉教へのへの旅の中で最も苦しい時だったと思います。
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2019年05月27日

十三  険しい峠ー俵坂峠

26人の殉教者たちは思いました。「地上でさえこのような苦しい登り道の峠のあとに、こんなに素晴らしい景色に出会うことができて、こうして慰めを与えられる。ましてこの殉教の旅を終えて天の家に帰る時、どんなに素晴らしい風景が私たちを待っていることだろう」そう思うと、彼らの内側から喜びと賛美が、再びわき上がってきたのです。
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2019年05月26日

十三  険しい峠ー俵坂峠

美しい風景 大村湾
その厳しくつらい俵坂峠を歩き、山を越えて、峠にたどり着いた時、目の前に大村湾が一望できました。眼下に広がるその大村湾の美しさに感動を覚えながら、そこで休憩をしました。この大村湾は、イスラエルのガリラヤ湖と、とても似ていて、まるで湖のようです。その素晴らしい景色を見ていると、それまでの疲れや苦しみが消えていくのを覚えました。
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2019年05月25日

十三  険しい峠ー俵坂峠

険しい峠
26人の殉教者たちもさすがに、これまでの長旅の疲れが出て来たようでした。もうまもなく殉教する長崎に入るという直前に、最も厳しいつらい道が待っていたのです。山本から彼杵までの道は、峠となっていました。それはそれは、とてもとても険しい峠道がつづくのです。この峠は、俵坂峠といいます。
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十三  険しい峠ー俵坂峠

その峠を歩いている間、ほとんど人とすれ違うことも、見かけることもなく、彼らは、ただひたすら黙々と静かに、その苦しい登り道を、歩いて進んでいったのおです。京都から歩きながら、説教をし続けていたパウロ三木も、通り過ぎる人もなく、険しい峠でただ息を切らしながら、説教もできずに黙々と歩き続けたのです。彼らにとって、この殉教への旅の中で最もつらく厳しい時でした。
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2019年05月24日

十三  険しい峠ー俵坂峠

山本から伊万里、武雄と26人の一行はひたすら黙々と歩き続けました。中には、あまりにも体が弱って歩けなくなったため、かごに乗せて山越えをした者もいたほどです。この辺りは、現在の佐賀に当たりますが、当時は肥前の国でした。九州で唯一キリシタンにならなかった国でもあります。この肥前の国は、以前からキリシタンたちと教会を目の敵にしていました。芝居や映画でも有名な化け猫騒動の鍋島藩の領地だったからです。ここから26人はさらに柄崎(現在の彼杵)に向かっていきました。

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2019年05月23日

十三  険しい峠ー俵坂峠

難渋を極めた道
1月3日に、京都の耳そぎで始まった殉教の旅も、まもなく終わろうとしていました。ひと月近く続いた天国へのこの旅は、冬のさなかでもあり、道はぬかるみ、非常な難渋を極めたようです。しかし26人の心の中には、イエス・キリストのの信仰と愛があふれていました。天国への希望が、満ちていました。ですから、体は弱り果てていても、彼らの表情は、喜びに満ちて明るかったのです。とはいえ2月2日に山本村を出てから、彼らの旅は厳しさを増し加えていきます。
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2019年05月22日

十三  険しい峠ー俵坂峠

今はそこには城跡しかありませんが、祈るにはとても良い場所です。一行は、そこで一夜を過ごし、さらに下関、博多と殉教に向かって旅を続けました。博多に着いた時には、殉教者数は、26人になっていました。途中で、フランシスコ吉とペテロ助四郎も、殉教者の中に加わったからです。博多から佐賀の唐津に着き、山本村に着きました。ここは12歳の最年少の少年ルドビゴ茨木が、キリストを選んだ場所です。今もそこで祈ると、まるで天が降りてきたような臨在が 注がれてきます。そこから彼らは、この旅で最もつらい峠へと、向かって行ったのです。
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2019年05月21日

十三  険しい峠ー俵坂峠

京都と大阪で捕らえられた24人が、京都一条の戻り橋を渡り、片方の耳たぶををそがれ、京都・大阪・堺の町を引き回されて、殉教への旅が始まります。この旅は、兵庫、明石、姫路、赤穂、さらに岡山、尾道、三原と続き、ここにあった三原城の牢獄で、15歳の少年トマス小崎が見張りの目を盗みながら涙ながらに母に手紙をしたためます。
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2019年05月20日

十二  死刑執行人、寺澤半三郎の苦悩ー三つの願いを退ける

退けられた最後の願い
唐津では快く旧友の願いを聞き入れた半三郎も、時の権力者秀吉をを恐れ、その機嫌を損ねては自分の立場が危うくなると約束を簡単に反故(ほご)にしてしまいます。また、キリシタンたちが、囚人たちを取り戻すために、今でいうテロ行為のようなことをしないかと恐れたのです。まるで自分の立場を守るために、イエスを群集に渡し十字架につけたピラトのように、半三郎は秀吉を恐れ、自分の立場を守るために、殉教者たちの願いを退けたのです。しかし、殉教者たちが、失ったものは、何もありませんでした。彼らは西坂の丘で、喜びに満たされて、天国へ勝利の凱旋をしたのです。

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2019年05月19日

十二  死刑執行人、寺澤半三郎の苦悩ー三つの願いを退ける

退けられた最後の願い
ところが、秀吉の勘気に触れることを、いつも恐れていた半三郎は、長崎に着いて、いよいよ死刑執行の日が迫ってきた時、今までの約束を翻します。彼は約束を撤回して言いました。「処刑を2月7日金曜日まで待つことはできない。今日5日水曜日に直ちに執行する」「処刑前にミサにあずかり、聖体拝領する許可は与えない」「告解する機会はイエズス会の3人(パウロ三木、ディエゴ喜斎、ジョアン草庵)にだけ許可を与える。そのためにパードレ(神父)を一人浦上のらい病院に来させるがよい」
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2019年05月18日

十二  死刑執行人、寺澤半三郎の苦悩ー三つの願いを退ける

 三つの願い
パウロ三木がいたことをはじめとする26人の殉教者たちには、三つの願いがありました。それは「イエス・キリストと同じ金曜日まで刑の執行を延期してほしい」(予定では2月5日の水曜日でした)「処刑される前に長崎のパードレの誰かに告解する余裕を与えて欲しい」「全員でミサに始まり、聖体拝領を受けたい」ということでした。この三つの願いを、パウロ三木は半三郎に嘆願したのです。半三郎は、この三つの願いを、快く承諾し許可しました。
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2019年05月17日

十二  死刑執行人、寺澤半三郎の苦悩ー三つの願いを退ける

そのパウロ三木が、信仰のゆえに囚人として捕らえられ、その死刑執行を自分がしなければならないのです。 半三郎はパウロ三木に丁重にあいさつし、パウロ三木も友の厚意に感謝を述べ、二人は固く手を握り、肩をたたき合って、この奇遇を喜び合いました。半三郎は親友を救うことができず、自分の手で死に追いやらねばならない宿命が、なんとも悲しかったようです。それなので、彼は、自分に与えられている職権の範囲でできるとがあれば、この友人この願いを聞いてかなえてあげたいとおもいました。
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2019年05月16日

十二  死刑執行人、寺沢半三郎の苦悩ー三つの願いを退ける

旧友パウロ三木
寺沢半三郎はにとって、もう一つ大きな悩みがありました。それは26人の囚人の中に、旧友のパウロ三木がいたことです。半三郎は、パウロ三木と、学童のころ、親しかったのです。パウロ三木の教理解説の会に出席したこともあり、受洗を希望したこともあったことをほどです。実際、兄の奉行である寺沢宏高は、すでに洗礼を受けていました。そんなわけで、半三郎は、とてもパウロ三木を尊敬し敬愛していたのです。
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2019年05月15日

十二  死刑執行人、寺沢半三郎の苦悩ー三つの願いを退ける

今もそこには、天を思わせる臨在が、注がれています。この山本で、26人の死刑執行人代理の寺沢半三郎に、彼らは引き渡されます。寺沢半三郎は、無邪気な3人の少年を処刑し殺さなければならないことで、心は暗くなっていました。それで何とかしてルドビゴをたすけようとしたのですが、この少年は決してイエス・キリストへの信仰を捨てなかったのです。
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2019年05月13日

十一  15歳の少年トマス小崎ー母への手紙

15歳の少年トマス小崎は、自分と父が殉教することに対しては、何の恐れも心配もしていませんでした。いや、それどころか、喜んでさえいたことでしょう。天国に対する確信と希望を、持っていたからです。しかし、残されてしまう母と、まだ幼い2人の弟のことが心をよぎり、この手紙を書いたのです。彼らが最後まで信仰を守って、天国で必ず会えるようにと、祈りながら、涙ながらに書いたのかも知れません。そして、この手紙を書き終えた時には、トマス少年は、愛する母と2人の弟も、主の御手の中に委ね切っていました。主を信頼していたからです。
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2019年05月12日

十一  15歳の少年トマス小崎ー母にしたためた手紙

たとえパードレ様がいなくても、臨終には罪とがを熱心に悔い改め、イエス・キリストの幾多の恵みを感謝なされば救われます。この世は、はかないものでありますから、パライソなる天国の永遠の全き幸福をゆめゆめ失わぬように お心掛けください。人が母上様にいかなることをしようとも、忍耐し、かつすべての人に多くの愛をお示しください。それから、とりわけ弟マンショとフィリポに関しては、彼ら2人を異教徒の手に委ねることのないように、よろしくお取り計らいください。私は母上様のことを 我らの主にお願いし、お委ねいたします。母上から私の知っている人々に、よろしく申し上げてください。母上様。罪とがを悔い改めることを忘れぬよう、再び重ねてお願い申し上げます。なぜなら悔い改めだけが、唯一の重大なことですから。アダムは神に背き、罪を犯しましたが、悔い改めと贖(あがな)いによって救われました。陰暦12月2日 安芸の国三原城の牢獄にて」
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2019年05月11日

十一  15歳の少年トマス小崎ー母にしたためた手紙

トマス小崎の手紙
「母上様、神のみ恵みに助けられながら、この手紙をしたためます。罪標に宣告されている宣告分にもあるように、パードレ以下私たち24人は長崎で十字架につけられることになっています。どうか私のことも、父上ミカエルのことも何一つご心配くださいませんように。パライソなる天国で母上様とすぐにお会いできるとお待ちしております。
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2019年05月10日

十一  15歳の少年トマス小崎ー母にしたためた手紙

三原城の牢獄の中で
この手紙をトマス小崎が書いた場所は、今の広島県の三原です。殉教者たちの一行は、京都で戻り橋を渡り、兵庫,明石、姫路、岡山、尾道と旅を続け、この三原にたどり着きます。1597年1月19日の深夜に、三原城の牢獄で、15歳の少年は見張りの目を盗みながら、母マルタにあてて、この別れの手紙を書きました。
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2019年05月09日

十一  15歳の少年トマス小崎ー母にしたためた手紙

少年。トマスが母にあてて書いた手紙が、殉教した後に、父ミカエルの懐から見つかりました。囚人だったトマスには、手紙を書いても 届けるすべがなかったのでしょう。彼は、父ミカエルに、この手紙を渡します。しかし、同じ囚人として捕らえられ殉教の旅している父にも、やはり届けるすべはなかったのです。父のミカエルは、この手紙を大切に自分の肌着の下に、身に付けて隠し持っていました。それを殉教の後に、ポルトガル人が発見しました。その時、この手紙は血に染まっていたました。
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2019年05月08日

十一  15歳の少年トマス小崎ー母にしたためた手紙

西坂の丘で殉教していった 26人の中にいた3人の少年。そのうちの2人、弱冠12歳最年少のルドビゴ茨木と 中国人を父に持っていた13歳の少年アントニオ。彼の両親は、まだイエスさまを信じていませんでした。この2人については、すでにもう書きました。今回は、もう一人の少年。15歳のトマス小崎について 書きたいと思います。彼は48歳の父ミカエル小崎とともに殉教します。父のミカエル小崎は伊勢生まれの弓師でした。その父と共に西坂の丘で十字架にかけられて、処刑され殉教していったのです。
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2019年05月07日

十  少年アントニオー十字架上でささげた賛美

中国人の父親は、それでも叫び続けました。「アントニオ、キリシタンを捨てて助かってくれ。そうすれば 私のありったけの財産を お前に譲ってやる。頼むから、どうか頼むから、キリストを捨てて助かってくれ」 「お父さん、財産は、この世だけのものです。主イエスさまが、私たちのために準備して下さっているのは、永遠の宝です。お父さん、嘆かないでください。私はもうすぐ天国へ行きます。そしてそこで、お父さんのためにお祈りいたします。だからお父さんもイエスさまを信じて、天国へ来てください。そこでお待ちしていますから」アントニオは、さらに何度も何度も、両親に向かって言いました。「喜んでください。喜んでください」と。そう言って隣で十字架にかけられていたルドビゴ茨木とともに、詩篇113篇を賛美し始めたのです。その時、西坂の丘に天国が降りてきたと言われています。
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2019年05月06日

十  少年アントニオー十字架上でささげた賛美

必死になって、半ば狂乱しながら 十字架にしがみついて泣き叫ぶ両親に向かって、アントニオはこう応えたのです。「お父さん。お母さん。喜んでください。喜んでください。私は、これから天国へ行くのです。お父さん。お母さん。泣かないでください。私は、これから先に天国へ行ってお父さん、お母さんのおいでになるのを待っています。ですから、お父さん お母さんのおいでになるのを待っています。ですから、お父さん お母さんもイエス様を信じて、私のあとから天国に来て下さい。お父さん。お母さん。喜んでください」
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